【コース・イン・ミラクルズって何?】——“この世のものじゃない”教材との出会い

はじめに

「コース・イン・ミラクルズ(A Course in Miracles)」という本をご存じでしょうか。スピリチュアル系の雑誌や書店で見かけたことがある方もいるかもしれませんが、日本では比較的最近になって“正式な日本語訳”が出版されたこともあり、まだあまり広く知られていないのが現状です。

私自身、あるとき本屋でふと目に留まったスピリチュアル系雑誌の中でこのコースの存在を知りました。特別な衝撃があったわけではなく、なんとなく「そういえば、こんな本があるらしい」と気になって手に取ったのが始まりです。ところが読み進めるうちに、ただの自己啓発書とも異なる、“この世のものじゃない”ような感覚を覚えるようになりました。今回はそんな不思議な「コース・イン・ミラクルズ」と、私が感じる戸惑いや抵抗感を含めてお話ししたいと思います。


1. コース・イン・ミラクルズ(ACIM)のざっくりした背景

アメリカで生まれた「分厚い教材」

  • 誕生は1960年代後半~1970年代
    「ヘレン・シャックマン(Helen Schucman)」という女性心理学者が、9年ほどの歳月をかけて“内なる声”を書き取る形でまとめたと言われています。
  • 公式の著者名は“無記名”
    ヘレン本人が「自分が書いたわけではない」として著者名を伏せたことで、「この世のものじゃない書物」という言い方をされることもあります。
  • ボリューム満載 & 翻訳も厳格管理
    アメリカで発行された原本は非常に分厚く、日本に正式訳として入ってきたのはごく最近になってから。翻訳にも厳密なルールがあり、内容を改変しないように慎重に行われています。

三部構成の「テキストブック」

  1. テキスト(本文)
    コースの理論的な部分。世界は幻想・夢である、という大前提から始まります。
  2. ワークブック
    365のレッスン(1日1課)を通して、「この世界は夢である」ことを少しずつ実感していくための“実践”パート。
  3. 教師のためのマニュアル
    テキストやワークブックを習得した人向けの補足説明。

2. 私とコース・イン・ミラクルズの関係

きっかけは「なんとなく手に取った」程度

「人生の大転機で劇的に出会った」「悟りを得ようと必死で学び始めた」というよりは、私の場合は単に雑誌の立ち読みがきっかけでした。ところが、読み始めると「なぜか手放せない」感覚があり、瞑想やヨガを続けるのと同時期にコースも読み進めるようになりました。

それでも人に“積極的におすすめ”はできない理由

  • 大きく心を揺さぶる可能性
    「世界は夢」「あなたが見ている現実は幻想」といった内容は、読む人によっては衝撃的であり、怒りや混乱が巻き起こることもしばしば。
  • 実践は“自学自習”が基本
    コースには緻密な学習手順があるものの、最終的には自分自身で向き合わねばならず、学んでいく過程で心の抵抗や葛藤も生じやすいです。
  • “研究”より“やるかやらないか”
    理論や歴史を深く研究することもできますが、本質的には「日々のワークを地道にこなしていく」ことが重視されます。あまりに先入観を持ちすぎると、かえって遠回りになるともいわれています。

3. 「コース」の不思議なポイント

ポイント内容感じたこと
著者不詳筆記者のヘレンは「自分が書いたのではない」と主張「この世で書かれた本じゃない」という不思議
夢・幻想の強調世界や自分の行動・感情まで「幻想」と説く人によっては動揺が大きく、抵抗感が生まれやすい
ワーク中心365日のレッスンを1日1課ずつ実践していく机上の知識ではなく、“自分でやる”しかない
翻訳・正確性重視財団による厳格な管理日本語版が出るまでに長い年月がかかった
迷い・葛藤を促す?学ぶほど心の奥にある感情が噴出しやすい怒りや混乱が起こる例もあり、慎重に向き合う必要

4. 読み進めるなかで感じる“戸惑い”と“魅力”

戸惑い:何をどう信じたらいいのか?

私自身、コースについて質問を受けるとき、正直戸惑うことが多いです。というのも、瞑想やヨガ以上に「コース」は人によって感じ方・捉え方の落差が激しく、体験の深さによっては大きな葛藤や混乱を生む場合もあるからです。

  • 周囲で混乱するケースを何度か見てきた
    “世界は幻想”という考え方が、大きなショックを与えてしまうのかもしれません。実生活に支障をきたす人もいるほどです。
  • 私自身も抵抗を感じる瞬間がある
    普段は当たり前のように読んでいても、「いざ人に語ろうとすると言葉が出てこない」「強い抵抗を覚える」など、自分の内側でバリアが立ち上がるように感じることもあります。

魅力:それでも手放せない一冊

それでも不思議と、「もういいや」と捨て切れない引力がコースにはあります。

  • まるで“わかっているはずの真実”を改めて読み返しているような感覚。
  • 「何かが劇的に良くなる」わけではなくても、日々の見方が少しずつ変わっていく。

この“微妙な変化”は、一度体感すると忘れられないものかもしれません。


5. まとめ:コース・イン・ミラクルズとの付き合い方

  1. 気軽に始められる内容ではないかもしれない
    世界観を根底からひっくり返すような主張ゆえ、人によっては抵抗感や強い感情が表に出る可能性があります。
  2. 「読むだけ」「やってみるだけ」でOK
    複雑な歴史や理論よりも、まずはテキストとワークブックを“ちょっとやってみる”ことが大切。頭でこねくり回さず、体験してみたい方はやってみるくらいの軽さが逆におすすめ。
  3. 混乱や苦しさが出てくることもある
    そのときは深追いせず、離れてみるのも一つの手。無理なくマイペースで付き合うのが、このコースの真髄かもしれません。
  4. 私自身もまだ抵抗を抱えている
    人に勧めるのがためらわれるほど、心の奥に“何か”を揺さぶる力があるのがコース。それでも「手放せない」と感じるからこそ、なんとなくそばに置き続けています。

おわりに

コース・イン・ミラクルズは「信じるか、信じないか」というよりも、「実際にやってみるか、やらないか」が問われる教材です。大きな矛盾や不安、抵抗を感じる人も少なくありませんが、それでもこの本が気になるという方は、まずは公式の日本語版やワークブックにそっと触れてみてはいかがでしょうか。

無理に周りと意見を交換したり、熱心に研究する必要はありません。自分のペースで読み、ワークが合わなければ中断する――その自由度の高さもまた、「コース・イン・ミラクルズ」の特徴だと思います。私自身もまだまだ戸惑いの中にいますが、瞑想やヨガと同様、「意外と手放せない」不思議な存在として、このコースを大切に感じています。

もしあなたが「世界は夢かもしれない」という言葉に何かを感じるなら、コースは面白い選択肢になるかもしれません。焦らず、一歩ずつ。必要だと思えるときに、必要なだけ取り入れてみてください。


※本記事はあくまでも個人的な体験や印象にもとづいており、コース・イン・ミラクルズに対する感じ方や進め方は人それぞれです。正式な情報や詳細は、公式日本語版の出版元や関連財団のサイトなども参考にしてください。